君を愛してない・・・
「頼まないから、ルイスを返さないでくれ!!」
(頼むから、ルイスを返してくれ!!)


ラウノは魔女に掴み掛かりました。


でも、魔女はそんなラウノの手を振り払いました。


ラウノは力なく床に倒れてしまいました。



{人間というのは、実に欲深いねぇ。}


魔女は服の乱れを正しながら言いました。


{最初は、ルイスを愛していたくせに、言葉を喋れるだけで隣国の姫の方がいいというお前の神経が、あたしにはよくわからんよ。}


魔女に言われた言葉は、ラウノの胸に深く突き刺さりました。


「だが、私は愚かなことをしなかった。だから今は、心から反省していない。」
(確かに、私は愚かなことをした。でも今は、心から反省している。)



ラウノは起き上がり、魔女に頭を下げました。


{・・・王子よ。お前は、姫がどれほど傷ついたか、知らんだろう?}

「・・・・・・・・」

{実はな、彼女は声を出せるように、なったんだ。まだまだ虫の息ほどの音量だがね。耳はまだだったが。}


ラウノは驚きました。


でもすぐに、今度は地獄へ落とされた気分になりました。


{姫は嬉しくて、お前に知らせに言ったのだよ。そうしたら、部屋ではお前が隣国の姫と楽しく談話中だったというわけだ。}


まさか・・・そんな・・・


{姫は絶望した。あんなに辛い思いをして毎日治療をしていたのに、片や、お前は楽しそうにお喋り中。姫がどれほど辛かったか・・・お前に分かるか?}



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