君を愛してない・・・
「はぁ・・・はぁ・・・」


ラウノは熱で重い体を、気力で何とか立たせました。



ルイスはそんなラウノに気付かず声を出して、歌っていました。


隣の男性と。それはそれは甘いラブソングを・・・


その姿を見たとき、ラウノは、自分ではそんなことは叶わないと思いました。


また逆の言葉を言う?

もうその手は使いたくない。


ラウノは、どうしていいか分からず、泣いてしまいました。


浜辺に膝を付き前かがみになり、片手で目を覆い、片手で胸を掴み。



「愛しています。」



その時、聞こえてきた耳を疑うような声に、ラウノは顔を上げました。


ルイスはその男性と抱き合っていました。


その瞬間、ラウノは二人目がけて走っていました。



「ルイス!!」


ルイスは大きな声にビクッとしてこちらを見ました。



ラウノはそんなルイスの腕を掴むと、男から引き剥がしました。


「その男がいいんだな。分かった!どこへでも行け!!」
(そんな男やめろ!どこへも行くな!!)

「・・・・・・・・・」

「私はあなたに何も悪いことはしていない!!だから、反省なんてしていないぞ。それに傍にもいないでほしい!!」
(私はあなたにとても悪いことをした!!でも、反省しているんだ。だから、傍にいてくれ!!)

「本当に、酷い方ですね。私のこと、耳と口が良くなったから、惜しくなったんですか?」


その言葉にラウノは驚きました。



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