君を愛してない・・・
「何か、怖い夢でも見たのですか?」

「あぁ。」

「どんな夢ですか?」



ルイスはラウノの背中を擦りながら、ゆっくり話し掛けました。



「ルイスが私のもとからいなくなる夢だった。」

「え・・・・・・・?」



ラウノはルイスの胸に頭を押しつけました。


まるで、ルイスの温もりを確かめるように・・・・・


そんなラウノにルイスはほほ笑みながら、言いました。



「ラウノ様。私の居場所は、ラウノ様のお隣なんですよ。それ以外ありません。」

「だが、不安で仕方ない。目を離した隙に、どこかに行ってしまうのではないかと思わずにはいられないんだ。」

「ラウノ様・・・・・・・」



ルイスは、ラウノが昼間行っていたことを思い出しました。



「本当に、あなたは分かっていないんですね?」

「え?」

「私だって、ラウノ様から離れたくありませんし、離れようとも思っていませんよ。」



そう言えば、ラウノの瞳からは再び涙が流れました。



「もう、一国の王子が泣き虫でどうするんですか?」

「ルイス・・・愛している。どうしようもない程に。どうか、私の傍を離れないでくれ。」

「はい、ラウノ様。私も愛しています。」



そう言い見つめ合えば、どちらからともなくキスをしました。



そして、再び抱きしめ合い、眠りました。




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