君を愛してない・・・
そんなある日のこと。



ルイスはお昼、中庭で咲いている花を見ていました。



「ここの花は本当に綺麗な花ばかりですね。」

「それはルイス様が毎日優しく手入れをしているからですよ。」



傍にいる侍女のカトリーヌが言いました。



「そうかしら。私はただお水をやっているだけなのに・・・」



歳の近いカトリーヌを、ルイスは姉のようにとても慕っており、カトリーヌもまた、ルイスをとても慕っていました。



「ルイス様、今の時間はとても日差しが強いですから、そろそろ城内へ戻りませんか?」



カトリーヌがルイスを城内へ促すと、ルイスは少し渋った顔をしました。



「どうかなさいましたか?」

「・・・いいえ。ただ・・・」



そこまで言うと、ルイスは黙ってしまいました。



「ルイス様・・・?」



カトリーヌは、ルイスのもとへ行くと、優しく声をかけました。



「王子の・・・ラウノ様のことでございますか?」



そう尋ねるとルイスは、眉をひそめました。





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