君を愛してない・・・
エステルはわざと大きなため息を一つこぼすと、呆れた口調で言いました。



「兄さまと義姉さまがいつまでも仲直りしないからですわ!」



正論を言われると、ウッと引け腰になった二人。



「兄さまは仕事そっちのけで義姉さまの絵姿をボンヤリ眺め、義姉さまは本を読んでいると思ったら逆さまだし。それに」

「もういい!!」



ペラペラ喋るエステルにラウノはムキになって怒鳴りました。



「いいえ!よくありませんわ!だから早く仲直りをして頂きたくて、セヴランに協力して頂いたんです!」



“ですからセヴランは悪くありません!”と言うと、セヴランを強引に連れていき・・・・


──嵐は去っていきました。






















「エステル様、わざわざありがとうございました。」

「別に・・・私が考えたことですもの。」



そう言うと、エステルは次女が開けた部屋へ入っていきました。





閉まったドアを見つめ

「・・・・・・・あなたは昔からお優しい方ですね。」




そっと呟き、セヴランは暗い廊下に消えていきました。




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