新撰組と過ごしました
池田屋事件


それから時は過ぎ、夏に入った。


京都の夏は猛暑。


料理を作るにしても、掃除をするにしても、洗濯をするにしても熱すぎる。


「どこか……涼しい所はないのかなぁ〜…?」


部屋にいるのも熱い。


「あ、中庭!」


と思いついたのは中庭。



で、行ってみたのはいいけど……


「風がない!!」


最悪………。



とにかく木陰あたりなら涼しいかなぁ〜?


「おや、こんな所で会うなんて偶然ですね。」


後ろから声をかけられた。


かけたのは山南さんだった。


山南さんは大阪出張から帰ってくるなり、部屋に篭りがちになってしまっていたから、あたしも数えるくらいしか会っていない。


「山南さん!山南さんも涼みにきたんですか?」


「えぇ。そんなところです。」


怪我のことは触れない。


怪我のことに触れると自虐的に笑う。


そして、言うことも嫌味っぽくなっていた。


「京都の夏は暑いんですね…。こんなに暑い夏は初めてです。」


「そうですね…君は初めての夏ですか…。」


「はい。冬があんなに寒かったのも初めてでしたよ。」


「君は初めてなことが沢山ですね。……さて、私はそろそろ部屋に戻ります。」


「そうですか?じゃぁ夕食になったら呼びに行きますね…?」


そう言うと山南さんは少しだけ笑って部屋に戻っていった。



「あたしも戻ろ。」






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