新撰組と過ごしました

真奈美SIDE


土方さんが飛び出してからどれくらいの時間がたったのだろうか。


さっきから聞こえる、刀で肉を切り裂く音。


これは土方さんが殺っている音。


殺られている音じゃない。


そう思って耐えていた。


すると音がピタリと止んだ。


反射的に立ち上がって走る。


土方さんの姿が見えた。


「土方さん!!」


あたしは走りながら声をかけた。


でも、土方さんは振り返らない。


「土方……さん?」


心配になってまた声をかけると不意に話始めた。


「俺は……。」


「え?」


「俺はあんな所で近藤さんを敵に引き渡して……何やってんだろうな…。」


「土方、さん?」


「1番いなきゃいけない人を敵に渡して……どうして俺が生きてんだよ!!俺は今まで…何の為に生きてきた…?近藤さんを…近藤局長を守る為じゃなかったのかよ!?」


後ろを向いていてわからないけど、土方さんは今泣いている。


「もっと…上に行かせてやりたかったのに、俺はそれができなかった…!」


あたしはゆっくり近づいて、土方さんの背中にしがみついた。


「…近藤さんは、土方さんと同じで土方さんに死んでほしくなかったんですよ、きっと…。うまくは言えませんけど、きっと、近藤さんなりに考えがあったんじゃないでしょうか…?前に1度だけ、近藤さんが話してくれました。
『本当に危なくなった時は、局長である私が皆を守ってやらんとな。この命に変えても…。』って…。」


土方さんはだまって聞いていた。




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