4度目の正直【短編】
先輩は好きな子はいなかったらしい。



当時、私は周りの友達に先輩の話をすると


「あんなキモ面どこがいいのー」


と、よく言われた。


皆、面食いだ。



“むしろぇぃがあんな人好きとか、信じられない”



テニスと、先輩の強さを知らない友達は皆そう言う。


私はあんたらが信じられないよ…。



でも、これで周りにライバルは確実にいないということが分かった。


嬉しいような、悲しいような…。



───そして、先輩の引退試合の日


先輩は1回戦敗退した。


その相手は優勝した。


前日、高熱で学校を休んでいた先輩。


勿論、試合の時は顔色が悪く、かなり調子も不調だった。


それでもファイナルまでもっていった。



それから何かが切れたかのように、ストレートで取られ試合が終了した。


先輩はベンチに戻って間も無く、崩れるように座り込んだ。
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