4度目の正直【短編】
「嘘っ!マジでそんなこと言ったの?相田君!!」




帰り、珍しく部活が休みだった紀保と下駄箱で対談中。



「───ん。…でもそんなすぐ諦めるーとか絶対嘘だと思わない?ヤツのことだし、いつかまた近寄ってくるに違いない!」



「でも分かんないよ?男は思った以上に意志とかプライド強いから本気かも。

…やっぱ相手から嫌われてるとなったら、考え直しちゃうからねー。」



「…。───でも1回“嫌い”って言われただけで身を退くとか───」



「…ぇぃは相田君のことどう思ってんの?」



急に真剣な表情になった紀保。




「…どうって…だから…嫌───」



「じゃあこれでよかったじゃん。もう嫌な思いしなくてすむし、前から望んでたことでしょ?それに“嫌い”て言ったのはこうなることを予想してだよね?」



「…そうだけど────」




私はただ、本当は少し静かにしてほしかっただけなのに────





“こう”なるとは思っても見なかったし、実際あり得ない。






それに何だか────


これまでの数年間が、まるで遠い過去…。






そして、消えていくようだった─────。
< 28 / 64 >

この作品をシェア

pagetop