4度目の正直【短編】
「…。」


今は、ヤツは私のことを好きじゃない


私もヤツのことが嫌い。



嫌い…



嫌…


────…本当に?



「…今は…私のことどう思ってんの?」



私は後ろ向きのまま口を開いた。



そんなこと聞いたって仕方ないのに


…話すのも久しぶりなんだし、今までの態度を見ればもう──



「好きだよ」


「…っ」



予想外の言葉に耳を疑った


「…何…言ってんの?」


「本当だよ。…あの日あんなこと言われて思った。このままじゃ駄目だって…一回距離を置いて、それからまた言おうと思ったんだ、俺の気持ち」



てことは、ヤツはまだ私のこと…


「…てか私がどんな思いしてきたか分かってんの?!いつも隣いたくせに急に離れやがって…意味分かんないし…それに…っ」



私の頭はテンパっていて、もうヤケになっていた。



───すると、いつの間にかヤツが背後に来ているのが分かった。



「…寂しかった?」


耳元で囁かれ、ビクッとした。



そして、目の前に来た


その顔は、余裕の笑みというやつか…でも、久々に見たヤツの笑顔だった。

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