ユメサクラ

3.再会?(5P)

ゴールデンウイークが終わって

今週末は都大会予選が始まった。


私は貴重な(?)週末が試合観戦でつぶれちゃうから
多少気だるい感じもしたケド


会場に向かう電車の中でも、サヤはウキウキだ。

「あ~ん、緊張するー!!
谷津せんぱいも今頃ドキドキしてるのかなぁ??」


「初めて選抜されたんだもんね」


「美羽だったら何て声かける??
『ガンバってください』しか思いつかないよ~っ」


「シンプルがいちばんだよ」


横で極めて冷静に答えているけど


私も少し緊張していた。



(川原くん、いるかな)



オトナが言う
「未練」って言葉がまだピンとこないけど

気持ちの隅っこにある
「会いたい」って想い。


でもそれは
胸が苦しいような
心が踊るような

そういうのとは違うんだよね…


わからない気持ちを持て余していたら


目の前のおばあちゃんに座席を譲りそびれた。



次の瞬間



「どうぞ、僕もう降りますから」

「悪いねぇ、ありがとうね」



正面に座っていた男性が席を譲っていた。
長身で、テニスラケットのバッグを肩にかけている。
広い背中のこの人も
同じ駅で降りたようだ。
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