ユメサクラ
会場は真っ白なテニスウェアを着た選手たちでいっぱいになった。

初めての大きな会場に、眠かった頭も目も、すっかり冴えてきた。



サヤはまるで自分が出場するかのように、ガチガチに固まっている。

「美羽~っ
アタシお腹痛くなってきた」

こんなに可愛いサヤの気持ちを知ったら
谷津せんぱい、嬉しいだろうなぁ。


サヤは152センチと小柄ながら、いつもニコニコしてて優しくて、すごいパワフルだなぁ、って思う。
中学が3年の時に同じクラスになって、共通の友達がいたことで仲良くなった。サヤの当時の片思いの相談や、私が失恋した時に励ましてくれたことが、
私はすごく嬉しかったんだ。



サヤは早くから星葉を受験するつもりだったみたいで、成績も楽々と合格ラインにいた。


「美羽も、あと少しだけガンバって
一緒に星葉行こうよ~」


私は文化部だったにも関わらず、成績もふつうで。
安全圏で近所にあるそこそこの私立を両親は進めていた。


サヤが高校で一緒にテニスをしたいっ
て言ってくれなかったら

いま星葉にはいなかったんだろうなぁ
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