さいころじかる
そっと、閉じられていた段ボールを開く。



「道端にぽつんと段ボールとくれば恐らく…」



その時小さく「にゃあ」と鳴く声が聞こえた。



「やっぱり猫ちゃんか」



よくその中を見てみると黒猫が一匹いた。いや違う、汚れと段ボールの影で黒く見えるだけだった。元の色は……何色?



「あらあらこんなに汚れちゃって可哀想にねぇ…ん?」



よく見るとこの猫、尻尾が2つに別れている。尻尾の中程からぱっくりと、だ。


「……なんか変わっているねキミは。でも庵野城の方が変かな?」



そして私は段ボールを閉じて、しゃがんでいた姿勢から立ち上がった。



「でもまぁうちじゃあ飼えないからね。ごめんね、いい人に見つけてもらいな」


私は段ボールから離れて、自転車にまたがった。そしてまた夕焼け空をバックに家を目指した。
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