罪血
目の前に広がる血。
斉藤の首からドクドクと止まることなく流れ続ける。
私はそれを、冷めた目で見下ろしていた。
次に刀身に目を移す。
白銀の刀身は、月明かりを浴びて鈍く煌めく。
切っ先に付着した血を、私はペロ、と舐め取った。
『血の味は、最高だな』
誰に言うでもなく呟き、私は刀を振って血を払った。
そして懐から菊の花を取り出し、花弁を摘み取り遺体にばらまいた。
次に赤い透明な勾玉を取り出し、落とす。
『――任務』
―――――――カツ、ン
『完了』
勾玉は固い音を立てて床に落ちた。
その瞬間浮かび上がる
[靈]
の文字。
靈は靈羅隊…すなわち、機密国家諜報部・暗殺部隊の意味。
この菊や勾玉が遺体のそばに有る限り、事件は公にはならない。