罪血
―瑞希side――――――

俺は、灑梛と別れたあと、リビングの棚や収納ケースを物色していた。

「くっそ、何もねぇし…」

多少苛々しながら呟く。

本当に何もねぇんだって!寂しくなるな、おい…

リビングには俺が物を物色する音以外、何もない。必然と、寝室からの音も聴こえてくるわけで…

『貴様の命、ここで仕舞いだ。』

灑梛の冷たい声が聞こえてきた。
お~こわ。
アイツは何も興味無いけど、殺しには愉しそうに反応すんだよな。

こっそりと障子の隙間から中を覗く。灑梛は日本刀を斉藤の首筋に当てて、僅かに笑ってた。
何十年も一緒にいないとわからない、ほんの僅かな表情の変化。

(あ、今日は銃じゃないんだ…)

俺は呑気にそう考えながら、斉藤孝之の書斎へ入った。

電気を付け、ノートパソコンを開く。隅々まで調べ、証拠が無いか探す。 パソコンには無いようだ。



――――では、どこに?

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