罪血
08.学園の王子様
四神学園高等部二日目
灑梛と瑞希は、表面上関わりの無い設定になっているため、朝も別々に登校した。
灑梛は読書、瑞希は携帯を弄っていた。
その時。
「「「「「キャァァァァアアァァァァァアァァァ!!!!」」」」」
廊下で女子達の黄色い歓声が巻き起こった。
「!?なんだ!?」
『うるせぇな、朝っぱらから』
瑞希はびっくりして携帯を落としそうになり、灑梛は読書の時間を邪魔されて一気に不機嫌になっていく。
「灑梛ちゃん!瑞希くん!おいでよ!!」
クラスメイトが二人を大声で呼ぶ。
灑梛と瑞希は席を立つと、人混みの中へ紛れていった。
「あれ、見て!!」
クラスメイトの指先を目で追うと、廊下の真ん中を一人の男子が歩いていた。
天使のようなふわふわで柔らかそうな綺麗な金髪。穏やかな水色の瞳。
「あの人はね、この学園のプリンス、
アール・フィリップ・ウェンディーズ様だよ!!
かっこいいでしょ?」
『アール・フィリップ・ウェンディーズ…』
そこには。
天使のような微笑みを撒ききらす、アメリカ人が、いた。