罪血
『おい、瑞希!!一体何があった!?』
灑梛は無機質のスイッチを押し、瑞希に怒鳴った。
《ザザ…すまん、灑梛!!連絡しようとした瞬間に…》
『別に、良い。言い訳は、後だ』
音楽室内をぐるりと見渡す。後ろのトランペット等、金管楽器はあまりにも突然な出来事に、放心状態。前にいる木管楽器、打楽器等は、数人怪我を負っている。
灑梛は、この有り様を見て、口端を吊り上げた。
『とりあえず、東京都靈羅隊・救護班、守護班を呼ぶ。…私は、その二班が来るまでここを離れることはできないが…』
《わーってるって!任せろよ、ウェンディーズは決して体育館から出させやしねぇ。」
『あぁ、任せたぞ、瑞希』
《おうよ、任せとけ!!》
そこで会話は終わり。
灑梛は、隣で血まみれになって倒れている、同級生を見つめた。
フルートをそっと置き、傍らに膝をつく。無線機のスイッチを押した。
『こちら、東京都靈羅隊第三席 靈羅 灑梛』
《はい、どうかなさいましたか?》
『国立四神学園高等部、体育館にて発砲事件発生。北館四階第一音楽室で負傷者多数。…至急、救護班と守護班の緊急要請を頼む』
《了解しました。ただいまより、そちらに向かわせます》
そこでスイッチを切る。
いま、一番重症なのは、灑梛の隣に血まみれで倒れている同級生。