罪血
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「なぁ、これでテメェ縛ったら、テメェはどんな形になるんだろうな?」
相変わらずウェンディーズに話しかける瑞希は、絶対零度の眼差しをウェンディーズに向けた。
「黙れ。俺は、貴様なんぞには殺られねぇよ」
「さぁ?それはどうかな?」
瑞希はワイヤーを縮めたり伸ばしたりしながら、ウェンディーズに近づく。
「だってさぁ?俺、四席だぜ?灑梛は三席。親父さん…高麗さんが一番強くて、二番目に緋梛さんが強いってことになってるけどさ、実際に緋梛さんは戦えない。」
「だからさ」と言いながら瑞希は、鞭を打つようにウェンディーズの身体にワイヤーを打ち付ける。防弾チョッキが切れ、洋服も裂けて、背中と左腕に紅い筋が浮かび上がった。
「…ッ!!」
ウェンディーズは防弾チョッキが切れたことに瞠目した。
「だからさ、本当は灑梛と俺は、二番目と三番目に強いんだよね」
また、ワイヤーを振るう。瑞希の戦い方は、拷問式なのだ。相手をいたぶり、なじり、十二分に苦痛を味わわせながら死なせていく。ある意味、灑梛より酷い殺した方だ。
「だから、なんだ?この俺が死ぬわけねぇだろ?」
―――――――――パァン!!
ウェンディーズが発砲する。散弾銃なので弾は飛び散るが、瑞希はそれを上に跳んで交わした。
「ねぇ、それで俺を殺れると思ってんの?」
瑞希がワイヤーを振るう。それが、ウェンディーズの首を掠めた瞬間。
―――――――――バン!!!
体育館の扉が、乱暴に開いた。その人物は、長い髪を靡かせながら体育館に入ってくる。
『なぁ、瑞希?私の獲物だ。勝手に殺らないでくれるか?』
喉の奥でククッと笑いながら近づく。
紅く、妖艶に煌めく瞳。
漆黒の長い黒髪を風に遊ばせ。
周りの女子よりも少し長いスカートをはためかせ。
すらりと長い脚で歩き、少し首を傾け。
口元は笑っているが、目は笑っていない。
そんな、周りの空気を凍らせるような、絶対零度の雰囲気をもった人物は、一人しかいない。
紛れもない、これは。
「――――――…灑梛」