Six Room












「…また今度にします」






俺は数時間悩んだ後
結局決められずに

不動産屋から出る







条件は一番シェアハウスの
とこが良かったんだけどなぁ







家に帰っても
1人になってリラックス
出来ないなんて








なんか引っ越す意味
無い気がするし









ちょっと頭の中で
6人で過ごしているのを
想像して見る






頭で考えるだけでも
気が休まらない







そうなるとやっぱり
いくら条件が良くても
シェアハウスには住みたくない












明日また不動産屋に
行って考えよう







俺はそんな事を考えながら
マンションの前に着く








…ん?



誰あれ?






マンションのエントランスに
マスクをつけた怪しい女が見えて
立ち止まる






俺は少し警戒しながら
女に近づく





よく見ると何やら
俺の郵便受けの前で何かをしている







「…すいません



そこ俺の郵便受けなんですけど?」






女は振り向いて俺の顔を見ると
驚いた顔をして一歩後ずさる







「…し、しんやくん!!!!」






「なんで俺の名前
知ってんの?





最近俺の後つけてきてんの
お前?」






「つけてきてる?




何言ってるの?」





「は?」






「私は

ただしんや君をお家まで
送ってあげようと思って…」







俺は理解不能な言葉に
口をぽかんと開ける







何言ってんの



この人






頭可笑しいんじゃないの?




「何?

何か可笑しい?」





…可笑しいだろ



完全に



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