Six Room










「は?ケンカしたの?」




悠莉が電話の向こうで
ため息をつく







「なんで?」




私は口ごもる


「…だって」






「だってじゃなくて」


悠莉がだんだん
イライラした口調になっていく






「…だって嫌だって言ったのに


ママとパパが決めた人と
結婚させるって」




悠莉は思い出したように言う







「あぁ



そういえば
あんた婚約者がいるって
言ってたっけ?」





「…親が勝手に決めた人だけど」




「会った事あんの?」



「あるよ



5、6回




でも苦手なの




なんか顔とかは
いいんだけど



性格が」






「悪いの?」





「うん



ものすごく



なんかチャラチャラしてるし
女好きって感じだし
口も悪いし



パパママの前だと
猫被ってるし





とにかく嫌なの!!!」





あまりの嫌さに大きな声が
出ちゃった






周りの人がちらちら
私を見てる






恥ずかしい




「いきなり大きな声出さないでよ!



びっくりするでしょ!!!」






美亜は声のトーンを落として
悠莉に謝る





「ごめん」







「あんたの言い分はよく分かった」







「え!


分かってくれたの?」




意外な悠莉の言葉に
期待が込み上げてくる








「…でもそれとこれては別





あんたを家には
泊められません」






美亜は期待してた分
どん底に落とされた気分になる






「悠莉のバカ―!!!」





「ああ!



もう!大きい声出さないでってば」



悠莉が面倒くさそうに言う


< 16 / 73 >

この作品をシェア

pagetop