Six Room
「やだやだやだ
死んでも帰んない!!」
誠司だったら絶対
分かってくれるのに
「美亜って
河原さんががいないとほんと
何も出来ないよね」
う
悠莉の言葉が
心にぐさりと刺さる
「出来るもん―!
だから今現に
1人でなんとかしようとして
るもん―!」
「じゃあ
どっかで一人暮らし
でもしたら?
バイトして」
「…バイト
した事ないんだもん」
「はぁ?
バイトぐらい」
「美亜にはぐらいじゃないの!」
「じゃあ自分で考えな」
「悠莉!
見捨てないで!」
「頑張って―
1人で」
悠莉の棒読みの応援が
聞こえた後プツリと電話が切れる
「え、嘘
悠莉?」
美亜が呼んでも
悠莉からの返事が
返ってくることはない
ヒドイ
親友なのに
美亜は時計を見て
ため息をつく
もう12時
「お腹すいた…」
お腹を押さえて小さく呟く
ほんとはいつもなら
もうお昼を食べてる時間
今頃香織さんと誠司は
仲良くランチ中かなぁ
うぅ
なんか寂しくなって来た
「誠司ぃ」
もし美亜が誠司を
頼ったらきっと誠司は
美亜を優先するに決まってる
いつだって
自分より香織さんより
美亜を一番に考えてくれる
だからこそ
絶対に言いたくないの