Six Room
美亜の子供みたいな我が儘で
中々会えない2人の
数少ない幸せな時間を
邪魔したくないんだもん…
それに
もう子供じゃないから
1人でも何とかしたいの
これも
我が儘なのかなぁ…?
「…ワン!」
突然足元で犬の声がして
ビックリする
小さなチワワが
美亜の足をすりすりする
「あの…」
犬の上の方で声がして
顔を上げると
若い大学生ぐらいの男性
ナンパ?
「今忙しいので!」
と美亜はふいっと
顔を横に振る
「忙しいの?」
「ワン?」
不思議そうに男性と犬が
尋ねる
「だから
忙しいから構わないで!!」
「ごめんね
なんか泣いてたみたい
だったから」
と男性は謝る
美亜はびっくりして
思わず顔をあげる
「み…見てたの?!」
男性も美亜がいきなり
顔を上げたからか驚いて
少しびくっとする
ワンちゃんも
同時にびくっとする
「いや
…うん」
美亜は男性をきっと睨む
「最低」
男性は顔の前で
手を合わせて
もう一度
「ごめんね」と謝る
「ワン…」
その時美亜のお腹がぐぅ―と
鳴る
自分でも驚いて慌てて
お腹をおさえる
…もう
嫌になっちゃう