Six Room


「待って!!」


再び美亜は彼を
引き留める



「どうしたの?」



彼とワンちゃんが
振り向く



「不動産や



一緒に行ってくれない?





引っ越し方分からないの」







「おっけ



任せて!」







彼は親指を立てて
手をぐーの形にする






どうやら




彼は頼られるのが
好きみたい




悪く言うとただのおせっかいの
お人好しだけど





美亜は少し考える




同じ家に

こういう人がいたら楽かも









1人じゃ何もできないし





引っ越しなんて
した事ないから何だか緊張する





手続きはほとんど
彼がやってくれた







不動産やの前で
タクシーを止めると
彼は後ろの座席の
ドアを開けてくれる







美亜は後ろの座席に
座ると
何故か彼も隣に座る




その上ワンちゃんも
後ろ座席に乗る





「前に座ればいいでしょ?」






「いいじゃん♪」




彼は何だか楽しそうに言う


「ワン♪」


ワンちゃんも楽しそうに
しっぽを振る




美亜はワンちゃんを膝に乗せて



3時間ぐらい山道に
揺れる




家の前に着く






うん、




もとの家よりは小さいけど




美亜が住むには
住み心地がよさそう






「家出大成功♪」




美亜は満足して
彼にピースサインを作る






彼もピースサインで
返すと





「大成功おめでとう♪」
とへらりと笑う













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