Six Room



女の子は説明するのを
諦めたのか


呆れた顔で俺を見る


「ここでいい」

「ワン」

「何がいい?」

「ワン」

「…何でもいい」




パスタが良かったとか言うくせに


そこは何でも良いんだ?



変なの



俺はビックマックセットと
王道の
チーズバーガーセットを(安いし)
買って女の子の方へ行こうと
振り向くと



あからさまに不機嫌な顔で壁に寄りかかって
俺を待っている



「買ったよ―

チーズバーガーセットでいい?」

女の子は頷く


あ―良かった

定番にしといて


「あ席
そっちがいい」


女の子は
ソファーの方をさす


「え―
俺もそっちがいい」


むっと女の子は頬を膨らませる


それは、譲らない!


そんな拗ねられても

…だって俺もそっちが
いいもん


折れろ!と
俺は視線送る


「じゃあいい」


よし!


勝った!!




女の子は更にほっぺを
膨らませて
椅子の方に座る



そういえば
ずっと気になってたんだけど


なんでゴロゴロ
持ってるんだろう?



旅行に行ってたようにも
見えないし


やっぱり



そうなると…

「…家出?」


女の子は少し目を丸くしてから


俺を大きな目で睨む



どうしてそんな事聞くの?
っていう目だ


…触れちゃいけなかったカモ



女の子の機嫌が更に
悪くなるのが目に見える




おかしい


めちゃくちゃ可愛いのに


めちゃくちゃ怖い




「…悪い?」


さっきよりも声が
心なしか低い気がする


俺はふるふると
横に首を振る


「俺も似たようなもんだし」

実際
反対されたのに勝手に
田舎から飛び出して来た訳だし




ほとんど家出みたいなもんだ


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