Six Room




父と母に反発して
この子を産んだから








もしかしたら許してもらえないんじゃないかって
ずっと怖かったけど







出産日
父も母も仕事を休んでまでも
駆けつけてくれた








それから一週間ぐらいして
2人で愛花に会いに来てくれた






可愛い孫を見て
すっかり上機嫌になって




“おじいちゃんでしゅよ~”

“おばあちゃんでちゅよ~”

なんて赤ちゃん言葉で
話しかける2人が








何だか可笑しくて
嬉しくて
思わず涙が出た







愛花と言う名前は
その日に父がつけてくれた








意味は“たくさんの人に
愛される花のように
いっぱい愛されますように”








センスの悪い父がつけた
意外にも可愛い名前は
私もすぐに気に入った







父は満足そうに笑って
また得意げに



“どうだ!
いい名前だろう!"
と言っていた









母は
“1人で育てるっていうのは
とんでもなく大変な事で


そんな甘いもんじゃない






でもあんたがちゃんと覚悟を
して決めた事なら
とやかく言わない





あんたはママになるんだから
これからしっかりやりなさいよ







もしも本当に辛くなったら
頼ってもいいから





美智はいつまでも
私にとって大事な
たった1人の娘だから”



親子の愛と絆は
強くて絶大だとあの時
分かった


あの日母がくれた
優しい暖かい言葉は
今でもよく覚えてる






多分これからも
きっと忘れない













あれから月日は20年過ぎて
あんなに小さかった
愛花もいつの間にか
二十歳になった








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