Six Room






幼稚園生になって
入園式の日に
“ママぁ~"って大泣きしていた
愛花が





小学生になって

“ママ行ってきます"
と毎朝聞こえる元気な声に
成長したなぁ…
と感動した





三年生の時には
“友達にパパがいないのは
変だって言われた




どうしてみんなには
いるのに私にはパパがいないの?"

と愛花に聞かれた




いつかは来ると
思ってたけど




私はまだ小さな
愛花に本当の事を
話してもいいか迷った




でも愛花の真剣な目をみたら
ちゃんと話さなきゃと思えた



パパの事を話し終えた私に
愛花は言った






“私にはママがいるから
パパはいらないや”







あの時
愛花が言ってくれた言葉は


優しくてあたたかくて
30過ぎた大人なのにわんわん
泣いてしまった







そして中学生になった






中3になると
反抗期が来て

何かと私に反発するようになった







髪を染めたりして
ピアスもあけて




夜中まで外で遊んだりする
ようになった





本当に大変で
辛かった






でも、高校になって
愛花の反抗期は幕を閉じた







またすっかり髪色も戻して



ピアスの穴も閉じた





ある日ふと愛花が
“ママがくれた
大事な体に穴をあけてごめんね”
と謝った





明るくって
いつも一生懸命な愛花は
私の生きる希望になってくれた

意味になってくれた






進路を決める時にも
愛花は大学に進まず


“ママのために働く"と言ってくれた



“いつもママに
迷惑かけてごめんね


1人で私を育ててくれて
愛してくれてありがとう


少しでもママの
力になりたい

恩返しをしたい"
と強く愛花は言ったけど


“大学に進んで


愛花が幸せなのが
一番ママの力になる”


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