Six Room
第1章*引越し先はシェアハウス
room 1
room 1
私がお屋敷についたのは
ちょうど夕方5時ぐらいだった
私は少し緊張しながら玄関のドアをそっーと開ける
「こんばんはー
今日からお世話になります
河村と申します…」
と名前を名乗った所で
お屋敷の電気屋がついていない事に気付く
お屋敷の中は静かで
人里離れた場所にあるからか
外の音も何の音も聞こえない
どうやら私以外にはまだ誰もいないらしかった
私は心細い気持ちになって
もしかしたら誰かいるかもしれないと
ほんのちょっと祈りを込めて
お邪魔しますと言って
お屋敷の中へ上がると
見た限りお屋敷は一階だてで
玄関の先には長い長い廊下が続いていた
まるで外国の映画にでも出てきそうな
ピンク色の壁の古い洋風な室内は
小さなマンションにいた私には
まるで馴染みのないもので
ここでの生活に慣れるのは
少し時間がかかりそうだと少し心配になる
長い長い廊下を数メートル歩くと
一つ目の扉があって
その扉を開くとそこは
洗面所でその奥にバスルームがあった
バスルームは広々としていて窓からは
日本だとは思えない
バラの咲いた美しい庭が覗いていた
毎日バラを眺めながら
入るお風呂は考えただけでうっとりした
私はうっとりしたまま
ふらふらと洗面所を出て
また長い廊下を歩く
洗面所のすぐ先には
二つ目の扉があって
そこにはこれまた
無駄に広く
無駄におしゃれなお手洗いがあった
そして
長い長い廊下の終わりにある
三つ目の扉を開けると
開放的でシンプルな空間が
私の前に広がる
そこには
こないだまで住んでいたマンションの部屋全体より
ずっとずっと大きなリビングがあった
ダイニングルームと繋がっていて
6つの椅子の置かれたダイニングテーブルの前には
使い方やすそうなシステムキッチンがある
私は大好きな料理を
ここで作れると思うとすごくワクワクして
6人分の料理を作るのが
すごく楽しみで
早く入居者がこないかな
だなんて思う
二十年も料理をしてきたのだから
腕には多少自信がある
ダイニングルームとリビングの前にある
大きな2つ窓からはやはり美しい庭見えた