Six Room







広い広いベッドの上でポツンと
体育座りして






静かに涙をながした











しばらくしてドア越しから
ママの"ごめんね"っていう綺麗な声が聞こえた

















その夜誠司はただ黙って
私の背中をさすりながら
添い寝をしてくれた







あの時誠司が居てくれなかったら





あの日美亜は




あの広いベッドに1人ポツンと
泣きながら眠ってたかもしるない











美亜のお家の壁が白から
ピンクに変わったのは















その日の朝からだった















あの朝やっぱり目が覚めると
まもパパもいなくて






長い廊下にポツンと立って
ピンクの壁を見つめて











また泣いた














…ほんとは












あの時




ピンクの壁なんてどうでも
良かったんだ














あの映画の中のピンクの壁
の家にあんなに住みたいと思ったのも







憧れたのも








あの映画の中に笑い合う
家族の姿があったからだ










あの家があんなに
輝いて見えたのは






そこに私の憧れの"家族"
があったからだ













寂しくて悔しくて
どうしようも無くて







ぽろぽろ涙が流れた











そん時もそばに
居たのは誠司だった













その頃から美亜は
誠司にべったりだった









パパやママに甘えられない分
誠司には存分に甘えた









誠司は美亜のパパでママだった














美亜が
こんなにワガママに育ったのは











もしかしたら誠司のせいかも
しれないと









家に似たピンクの廊下を
歩きながらふと思った














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