Six Room











怒ってたらどうしよ…







僕は夏奈に電話を掛け直す








夏奈はワンコール目で電話に出て
何もしゃべらない










ああ、これは怒ってるなと確信して







一度電話を切る














夏奈はいつも優しくておおらかだけど
こういう



"約束"









とか



"時間"


にはうるさい










僕はふぅーと一度深呼吸をして
もう一度掛け直す












「…はい」










低いドスの聞いた声で夏奈が
電話に出る









僕はおそるおそる喋り始める















「夏奈さん










あの、」











「言い訳はいらない」












「はい。



すいませんでした





今すぐ行きます。」






「…いや、いい






私が行く!」












「…え?」









俺は半目だった目を
パチクリと開ける










なんて?











行く?











という事は…











ここに来るという事?













「まさか、もう、向ってらっしゃる?」








「うん」













なんという







すさまじい
行動力。






俺は慌てて起き上がって
着替えて寝癖を直す













夏奈にここを
教えるんじゃなかった














と後悔する

















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