Six Room
room 2
room2
山谷 慎哉
26才
自分で言うのも何だけど
良い大学を出て
このご時世に良い就職先に就き
おまけに女にもモテる
特に何か起こる事もなく
毎日充実している
ただ
一つだけ困ってる事がある
最近よく後をつけられる
家や会社にまでついてきては
じぃ―と俺を見ている
言わゆるストーカー
ってやつだ
正直怖い
前からよく視線は
感じてはいたが
まさかセキュリティ万全の
“高級マンション”の中までも
入ってくるとは
想像もしていなかった
プライベートの場まで
入ってこられるのは
やっぱり困るし
なんだかリラックスし
疲れを休めるための家が
逆にストレスになっている
さすがにこれはきつい
と思って警察に
被害届を出したけど
相手にもされなかった
それどころか
“何か女性に恨まれるような
事でもしたんじゃないですか?”
なんて失笑された
正直カチンときて
警察がそんな事
言っていいのかと思ったけど
実際
思い返すといくつか
心辺りがあって
何も言い返せなかった
それにストーカー事件
ってのは被害件数も多いが
大きな事件に発展する
ケースは少ないらしい
俺は警察を諦めて
自分で対策を考える事にしたが
この俺が誰も
上げたことないこの家が
ばれてしまったのだから
考えられる答えは
一つしかなかった