桜爽の風。
母と約束したことも初日そうそうに破ってしまった。
そういえばさっきの男の子、名前くらい聞いておけばよかったな。
彼には本当にお世話になった。
今度どこかで会ったらお礼しなきゃな。
でもいつまた会えるのかわからないな。
もしかしたらもう会えないのかもしれない。
んー、と考えているときに「菜子ちゃーん、晩ご飯出来たわよ!」と由紀さんがあたしを呼んだ。
呼ばれた瞬間あたしの頭の中から男の子は消え、"由紀さんの手料理"というほうに気をとられてしまった。