よっしゃ、恋愛小説を書こう
「ふーん……」とか、納得してるのかしてないのかわかんない感じで、さとこが頷く。

なにか考え事かな。もう二、三度、「ふーん」とか「なるほどなるほど」とか呟きながら、頷いていた。

あたしは、三島先生の話なんか聞き流しながら、机に突っ伏してぐーすか居眠りしてる啓介の背中を眺めた。

(あんなのに惚れる女の子がいるんだー、へー。……あたし、これで嫉妬とかしてればかわいいだろうにねー)

……。

…………。

………………あ、そうか。嫉妬か。

いいかも、それ。

幼馴染みの男の子に、どこかの女の子が告白してるのを目撃しちゃうと。

んで、自分より先に告白されたことにショックを覚えるヒロイン。

んでんで、どうしようとか焦ってるとこに、よりにもよって男の子から相談される。

『告白されたんだけど、どうしよう』って。

あたしに聞かないでよ! とか、なんか複雑っぽくなっちゃって、うまく答えられなくて。

すげー。あたしの脳みそすげーっ。いい、それすごくいい。

さすがにケータイを授業中にいじってたら取り上げられる。

今は書けない。

教室の上にある時計を確認する。

授業はあと30分もある。

ああ、早く終わんないかな。
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