よっしゃ、恋愛小説を書こう
「ぇっくしょん。うー、ほんと寒い……。教室行こうかな……でもなあ、うーん」

ちょっとだけ、クラスが違うよっちゃんのとこに避難しようかと思った。

でも、よっちゃんとはこないだの部活の時、あんな話をしちゃったからなあ。

あそこに逃げ込んだらきっと、なにがあったのって根掘り葉掘り訊かれそうだ。

ひゅるりと風が吹く。校舎の裏だから、入り込んだ風が迷子になって吹き抜けられず、渦を巻いてるらしい。やたら寒い。

「ぃえっしょん。うー、さっむい」

「だったら教室戻ればいいじゃん」

「え゛」

声がして振り向くと、さとこがいた。

どうしよう。早くも発見された。

逃げる? でも、膝の上にお弁当広げちゃってるし。

なんて考えてるうちに、さとこがあたしの横にぽんと座った。

「もー。どこにいるのかと思ったら、こんなとこなんだもん。探しちゃったよ」

「う、うん……」

「こら、ずりずり横に逃げるな」

「う」

ちょっとだけでも距離を開けようとしてたあたしのスカートを、さとこが掴んだ。もともと座ってたとこに引っ張り戻される。

「ヘンだよ、今日のまこと。どうしたの?」

「……や……なんていうか……」
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