よっしゃ、恋愛小説を書こう
ごにょごにょとしか喋らないあたしを、さとこはしばらく、首をかしげながら見ていた。

そして、あっさり言う。

「今日の朝の話、盗み聞きしてたのって、まことでしょ?」

「ぅえぇぇぇっ!? ちょ、いやっ、二人の話なんて聞いてない聞いてないっ! なんでそんな、証拠はっ!?」

「ほら、今言った。私、『朝の話』とは言ったけど、だれと、とかは言ってないよ。もちろん、二人とか、人数も」

「う、あ……」

「まことは嘘つけないね、ほんと」

にっこり笑って、自分のお弁当の包みを開け始めるさとこ。

それが、なんだか白々しくって、あたしは拗ねた声を出した。

「なにさ……さとこは、嘘が得意なくせに」

「うん?」

「さとこだけじゃない、啓介もだよ」

「なんのこと?」

「とぼけないでよっ」

ヘンだな。なんであたし、怒鳴ってるんだろ。

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