よっしゃ、恋愛小説を書こう
周りに聞かれるとめんどくさそうなので、あたしはグッと啓介の机に体を寄せ、小さな声で言った。

「ね、キスして」

「ぶふっ」

「あ、バカにしてんなー、冗談だと思って」

「バカにしてんのはお前だろ。お前、頭おかしくなったのか?」

「なによー、どういう意味よー、それー。いーじゃないのよー」

「なにがいいだ。俺とお前は幼馴染み。それ以上でも以下でもねーの」

「もー。ケータイ小説家と幼馴染みの男の子は、女の子のお願いに付き合ってくれるのがセオリーなのにさー」

「待て待て、どこのセオリーだ」

「これ」

あたしが読んでるケータイ小説を開いて、画面を見せる。

今度は文庫本から顔を上げた啓介が、グッと体を寄せてくる。

< 3 / 39 >

この作品をシェア

pagetop