よっしゃ、恋愛小説を書こう
「えーと、なになに? ……『俺様幼馴染み×純情少女? あたしに恋愛を教えて?』……なあ、まこと」

「なにさ」

啓介の表情が、ひくひく引きつっていた。

「お前、こんなん読んでたのかよ。俺様とか、なに、そういうのがタイプなんだ?」

「そーゆー意味じゃないけど」

へっ、と啓介が小憎たらしく笑う。

「だって、あたしに恋愛教えて? って? お前が?」

「なんなのさ。悪い? あたしだってフツーの女の子ですよー」

「毎日毎日グラウンドで『ッシャ、コーイ!』とかノック受けてるお前が? ――いでっ!?」

平手打ちを食らわせてやった。

すぐに体を引っ込める啓介に、「ふん」と意地悪に笑い返してやる。

「そんなんだから彼女のひとりもできないのよ。高校生にもなって、はーずかしっ」

自分でも見事だと思うくらい、綺麗なもみじ状の手形がついたほっぺを手で押さえながら、啓介が反論する。

「んだよ、それはお前も一緒だろ! かわいげねーの!」

「なによっ、もういいっ、啓介には聞かない!」




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