よっしゃ、恋愛小説を書こう
啓介と喧嘩なんてしょっちゅうだ。

あたしも啓介もスポーツをやってるから、つい負けん気が強くなる。

最初にした喧嘩はなんだっけ。

パンにつけるジャムは、イチゴかチョコレートか、だったっけ?

違うとしても、たぶん、そんなしょうもない喧嘩。

いっつもどっちも引かなくて、ちっちゃい頃から相手のどこかを指差して、「ヘンなのー!」とか言い合ってた。

ただ、それでも……

(なにさ啓介……夏目漱石とかさ、なにがおもしろいの?)

いつのまにか仲直りしているのは、たぶん、心の底から相手を嫌ってないから。

たとえどれだけバカとかアホとか言ったって、お互いそれが冗談だったり、その場の勢いだったり、わかるから。

(……あ、そうか)

と、そこであたしは閃いた。

喧嘩ばっかりする幼馴染みのことが、実は好きな女の子。

どうだろう、これ。

で、いつも喧嘩ばっかりするけど、本当はいつのまにか幼馴染みのことが好きになってて。

でも、ほら、いつも喧嘩しちゃうから、気持ちがうまく伝えられなくて。

おお、いいかもしれない。

なんだあたし、ソフト以外でも冴えてるじゃん!
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