LAND~約束の丘~
第1章 ~幕開け~ 轍平
「ねえ、君、アドレス教えてよ。」
きれいな雲をながめているとあいつが言ってきた。
学校からの帰り道、この丘は俺だけの秘密の場所だったはずだ。
「えっ、てゆうか、あんた誰?」
俺はだるそうに答えた。
だけどあいつはひるまない。・・・なんだ、こいつは。
「私は9月から若宮中に転校するんだ。
君、若宮中の生徒でしょ?友達になろうよ!」
この時俺は初めて会ったこの子に、
少し懐かしい感情を抱いた。
このキモチはなんだろう・・・。
「別にいいけど。名前は?」
「私は、渡辺そら。そらって呼んで。君は?」
そらか。いい名前だな、俺は思った。
「俺は里中轍平。若宮中の2年。よろしく。」
「よかった。私も2年生なんだ。同じクラスだといいね。」
そらが笑顔になる。その微笑みに少しドキッとした俺がいた。
よく見ると正直可愛い。。。
その場で俺らは携帯アドレスを交換した。
携帯を持つそらの手は白く、指はすらっと長い。
俺は学校が始まるのが待ち遠しくなった。