LAND~約束の丘~
Dear・・・轍平

ねえ、轍平?

もしかしたら、私に良くない事が起きるかもしれない・・・

そう思いたくはないけどね。

だから、その時に備えて、私がアメリカから帰ってきたら、

轍平に伝えようと思っていることの全てを書いて、手紙を出します。

私たちの出会い・・・私の想い・・・アメリカに行く意味・・・そう、全てを。



中学2年の夏、私たちはあの丘の上で出会った。

って思ってるでしょ?

でもね、実は違った。

私たち、もっと小さい時に出会ってたんだよ。

私は小さいときに初めて恋をした相手がずっと忘れられなかった。

その人は私に、

「大きくなったら、僕と結婚しようね。」

って言ってくれたの。

私は、

「大きくなったら、私と結婚してください。」

って答えた。

もうわかったかな?

この約束の相手・・・轍平だったんだ。

轍平はこの約束、覚えてくれているかな。

私がこれに気づいたのもつい最近。

それまでは初恋のあの人が轍平だなんて思いもしなかった。

アメリカ行きの荷物を造っている時、本棚から古いアルバムが出てきてね、

小さいときの写真のしたに“てっぺいくんと”って書いてあったの。

お母さんに聞いたら、「里中さんよ」って言うの。

そこでわかった。

忘れられないあの人、実は轍平だったんだって。

そして今、私は轍平に恋している。

これが運命なんだって思った。

でも私には、この病気が・・・。

長くは生きられないかもしれない・・・。

だから、アメリカに行って頑張って治して、

日本に帰ってきたら轍平に話すつもり。

今度は私から告白するから待っててね。


< 50 / 52 >

この作品をシェア

pagetop