実話〜Jituwa〜
電話をかけているようでした。
スタッフが待機していると、すぐに戻って来ました。
そして、会議の終了とある一言を告げ、帰ってしまいました。
―――所長が帰った後、残されたスタッフは全員、私を見ていました。
何で言ってしまったんだろう、と後悔しました。
言わないと、解散しないだろうな……と半分諦めたような気がして、話すことにしました。
実は、自動ドアは勝手に開いたりしていたのではなく、藤色の着物を着たおばあさんが出入りしていただけでした。
ドアの自動を切られた後は、所長の後ろに立っていましたが、あまりにも気付いてもらえないので、ドアを開けたんだ………と説明しました。
所長と付き合いの長いスタッフが教えてくれました。
藤色の着物は所長のお母さんが好んで着ていた着物で、少し前に入院していたそうです。
最近は状態があまり良くなかったらしいです。
私とそのスタッフの話しで、みんなは悟ってしまいました。
『お母さんが、呼んだ』―――んだと………。