嘘と約束~イブの前夜に
約束の場所に未樹は立っていた。
「未樹~遅くなってごめんね」

「私も今着いたの。麗那ごめんね」

「何言ってるの!さぁ薬局行くよ」

検査薬は何種類かあった。先日未樹が購入したものと違うのを買う事にした。

近くのスーパーのトイレに、悪い事でもしてるかのように、人目を気にしながら、コソコソと入った。

「未樹、とりあえず説明書読んで、順番にやって!終わったら、結果は一緒に見るから」

「うん…」

未樹は震えていた。今にも泣き出しそうな感じで、トイレの個室に入った。

頭の中で秒針の音がしていた。水の流れる音がして、ドアが開き未樹の顔が見えた。周りを見回して、麗那も中へ入った。

検査の説明書によると、尿をかけてしばらくすると、染みてきた部分に線が出るかどうかで判断するらしい。

判定の時間が来て、おそるおそる見てみた。
「未樹?線出てないよね。出てないよ!」

「本当に~!」

どの方向から見ても、しばらく時間がたっても、判定は妊娠していない事になる。

麗那は、あまりの緊張感と、安心感で涙が出てきた。同じく未樹も泣いていた。

「未樹、辛かったね。こわかったね。大丈夫きっともうすぐ来るよ」

「ありがとう麗那。こわかった。本当にごめんね…」
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