嘘と約束～イブの前夜に
教師は戻ってくると、
「とりあえず今日は帰れ。隆秀と自分達が何話ししたか、話しながら帰るんだな。どちらかが嘘言ってたら、処分は重くなる。わかってるな」

「はい…」

教室を出て、ゆっくりと廊下を歩いて行った。体育館の部活の声、吹奏楽部の楽器の音が聞こえていた。

玄関のドアの前で、隆秀は麗那を待っていた。隆秀の左頬は赤く腫れていた。

急に、涙が込み上げてきて、麗那その場にうずくまってしまった。後ろからついて来ていた教師が

「泣いたってどうしようもない事したんだ。まずは反省して、考えるんだな。隆秀、お前がやった事で、好きな女にまで、こんな思いさせてるのわかってるのか！まぁ、家に帰って絞られるんだな」

そう言って、階段を上がって行った。隆秀は麗那の腕をつかんで、立ち上がらせた。

「麗、ごめんな。たたかれたのか？」

「うん…」

「ごめん…」

「歩けるか？送るから」

帰るのが嫌だった。年の離れた弟のいる、麗那の両親は、お姉ちゃんなんだから！と麗那に厳しく、隆秀と付き合ってる事さえ、半分隠していたくらいだ。
何て言われるだろう。父親には、殴られるに違いない。
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表紙・目次

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