嘘と約束~イブの前夜に
泣きながら、寒い冬空を見上げた。

今頃激怒している、母親の顔が浮かんだ。帰りたくなかった。

「麗、このまま歩いてかえらないか?寒い?俺歩いて送るから。」
「でも…私の家と透也の家、まるで反対でしょ。透也帰り困るでしょ」

「俺なら麗送って、兄貴に電話したら、迎えに来てくれるし、大丈夫だって…」

「どうして…どうして車なんか乗ってきたの?こうなるって、少しは予想できたんじゃない?」

麗那は、少しキツメの口調で言った。

「ごめん…麗…怒ってるんだ…」

「怒るよ!普通考えたって、わかるよ…大事な時期だっていうのに、進学できなくなったらどうするの?」

「まぁ、そうなれば、親父の仕事継ぐしかないか~大丈夫だって…心配するな。それより、麗の家、まずいんじゃないか?親父達に頼んで行ってもらおうか」

何もかもが嫌になった。透也の考え方が、とにかくイライラしていた。

「ところで、麗何聞かれた?大分絞られただろう。俺の事はいいとして、麗は自分に不利な事言ってないよな」
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