嘘と約束~イブの前夜に
隆秀とまた後でと別れ、教室に未樹の体を支えながら入った。

「未樹どうした?」

何人かの友人達が声をかけてきたが、何も言わず未樹は席に着いた。

「未樹、大丈夫?抜け出そうか?」

麗那も授業どころではなかった。自分の頭の中も混乱中で、とにかく話しを聞く事が一番だと思った。

「大丈夫。休み時間で大丈夫だから…」

授業中もうつ向いたままの未樹。(何があったの!)麗那も不安でいっぱいになっていた。

チャイムが鳴って、麗那は、未樹の所に駆け寄った。それと同時に教室のドアが開き

「麗~」

と隆秀が入ってきた。
「ごめんね。未樹の話し聞いてあげたいから」

「わかったよ。じゃあ俺剛とパンでも買ってくるわ」

剛という名前に、未樹はピクッとした。また波があふれてきていた。とにかく二人になれる場所と、未樹を連れ出した。

「未樹、落ち着いて話しして。男子が何人かいてどうしたの?」

「最初は、皆で話ししたりで盛り上がってたの。そのうち、友達二人が用事あって帰って、男子が何人か出たり入ったりしてて。女子は私ともう一人だけになったの。そしたらね…」

チャイムが鳴った。でもこの状態なら戻れない。麗那はそのまま、多目的室の中で、未樹と向かいあっていた。
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