最後の世界がきみの笑顔でありますように。
バタンッ
「鮎沢さん!!!」
屋上へ入ると、今にも飛び降りようとしている鮎沢さんの姿があった。
「鮎沢!?」
後ろから聞こえた声に振り向くと、息を切らした坂原がいた。
「こ、来ないで!!」
近付こうとすると、鮎沢さんは涙を流して叫んだ。思わずあたしは立ち止まる。
「私の事は、ほっといて下さい!!」
『あたしの事はほっといて!!』
あの時、あたしも同じ事を思った。もう他人と関わりたくない。どうしてほっといてくれないの?
「あたしの苦しみなんて、誰にも分からない!!みんなも見て見ぬふりなの。誰も助けてくれない…。」
そう…。誰にも分からない。あたしの辛さなんて…。
「私…もう限界なんです…。だから消えます。」
そう言って鮎沢さんは、両手を広げた。