最後の世界がきみの笑顔でありますように。


「目を閉じたら何が見える?」


「……え……?」


目を両手で覆ったあたしを、困ったように見つめる。



「何も…見えないと思います。」


「そう……。何も見えない。真っ暗で…光も無い。そんな世界で生きていくのと、今のあなた、どっちが幸せ?」



自由に動き回れない、大切な人とも一生見つめ合う事も出来なくなる。これ以上に無い絶望が何処にある?



「死んじゃうならちょうだい?あなたの目を…。」



そんな事、出来ないのは分かってる。もう涙を我慢する事が出来ないのも、分かってるんだ。



「イジメなんて無視すればいい。どうせ、高校だけの付き合いでしょ?鮎沢さんはいつだって逃げられる。でもあたしは…。病気から逃げる事が出来ない。」



どうやっても、何をしても変わらない。








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