最後の世界がきみの笑顔でありますように。


ボスッ


「……………………。」


自分の部屋のベッドに寝っころがる。ここまでどうやって帰って来たのか分からない。




『完全失明』ただその言葉が頭の中を巡る。



「ぁ……ぁ……い、嫌…」

恐い。恐い。恐い。恐い。何も…見えなくなる…。全部……失う…。



「嫌あぁぁぁぁぁっ!!!」




気付いたら叫んでいた。あたしの声を聞いた皆が、あたしの部屋に飛び込んできた。



「さ、幸!?」


暴れ回るあたしを、お母さんが抱きしめる。


バシッ


「…っ……。」


あたしの手が、お母さんの頬に当たった。



「…うぁ…嫌ぁっ!!!」



ガシャンッ


棚の上に置いてあった写真立てが床に落ちた。その反動で、写真に亀裂が入る。その写真立てを、望は抱きしめて泣いていた。



「止めろ!!落ち着くんだ幸!!」




お父さんは幸の体を押さえつけた。お母さんはそれを見て泣き崩れる。



全てが…壊れた瞬間だった。






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