最後の世界がきみの笑顔でありますように。


コポ………


「………………。」



川の中は静かだった。川の流れも無く穏やかで、此処だけは時間が止まっているのではないかと錯覚する程に……。




目を閉じる。此処であたしは死ぬんだ。意識が途切れそうになる。



バシャンッ



すると突然、静かだった川の中が騒がしくなった。



途切れかけた意識を必死に保ち、目を開ける。



………坂原……?


そこには、いるはずの無い坂原の姿があった。必死にあたしに手を伸ばしている。



あたしも手を伸ばした。最後に………。一番大好きな人に触れたかった。



坂原の指先と、あたしの指先が軽く触れ合った。




さよなら……坂原……。




そこで意識が途切れた。









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