最後の世界がきみの笑顔でありますように。


「漣!!」


そう言って男の子は、あたしを抱きしめる。



あたしは男の子にしがみついた。



あれ………?この温かさを、あたしは知っている。



「…大丈夫だ……。」



しがみつくあたしの頭を、男の子は優しく撫でた。
なぜか、物凄く安心が出来た。




「幸……何も覚えていないの?」



女性が幸の腕に触れた。



「あの……誰ですか…?」



突然知らない人に触れられた為か、体が震える。



「幸…?何言って……お母さんよ!分からないの!?」



泣き出しそうになりながら、女性はあたしの肩を揺する。



「い、嫌!!知らないっ…知らない!!!」



あたしは女性を突き飛ばした。女性は両手で顔を覆い泣き出した。その女性を、男性と女の子が抱きしめる。



ズキン……



何……?心臓と頭が痛い。とてつもなく悲しい気持ちになる。



「な…何なの……?何なの…?」




分からない……。分からないよ…。








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