最後の世界がきみの笑顔でありますように。
「ご家族の皆さん、お話があります。別室に移動していただいてもよろしいでしょうか。」
先生はそう言って、扉を開いた。
「……はい。」
答えない女性の代わりに、男性が答えた。
病室から何人かが出て行った。部屋には、あたしと男の子の二人だけになる。
「漣……。俺の事…忘れちゃったの?」
目の前の男の子は、とても傷付いた瞳で、あたしを見つめる。
ズキン…ズキン…
そんな目で見ないで…。あなたのそんな顔…見たくない…。
「……漣……。どうして……。」
そう言ってあたしをもう一度抱きしめる。その腕は震えていた。